梅雨があり湿度が高い日本の家屋は、昔から快適に過ごせるよう「風通し」を考えて設計されていました。ただし住宅事情で風が通らない物件もあります。リノベーションで風通しを良くするには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。

風通しのいい家のメリットとは?

湿気がこもったままだと室内にカビや結露、シロアリが発生して家が傷んでしまいます。空気中のホコリや菌、ウイルスも溜まって体に良くありません。風が通れば湿度が下がるだけでなく空気も入れ替わるので、こうした心配を防げるメリットがあります。

 

家が長持ちすれば建て替えや住み替えは先送りできますし、健康に過ごせたら医療費も不要です。さらに風を通して湿度が下がると体感温度も下がるので、エアコンに頼る時間が短くなります。このように風通しのいい家は大きな節約効果があるのです。

風通しのいい家の間取りとは?

風通しを良くするには、少なくとも2ヶ所の窓が必要です。1ヶ所だけだと風が入っても抜けてはいかず、空気が循環しません。2ヶ所あっても同じ壁に配置されているよりは2つの壁に配置されているほうが風は通りやすくなります。

 

さらに暖かい空気が高いところに溜まりやすい性質を利用して、風が入ってくる窓より抜ける窓が高いところにあると効率的です。例えば2階の窓や天窓、ハイサイドライトなどがあります。

 

風は天気の影響を受ければ、様々な方向から吹いてきます。夏に限っていえば多くの地域で南から北に向かって吹きます。こうした風の向きも考えて窓が配置されているのが理想です。

 

ただし、かつての集合住宅に多かった「田の字型」の間取りでは、1つの部屋だけで風通しを良くするのは難しいでしょう。そこで部屋のドアを開ければ奥の部屋の窓から抜ける風の通り道を確保できる造りになっています。引き戸なら開き具合を自由自在に調整できるので便利です。

 

どうしても窓を確保できないところは換気扇を設置すると強制的に空気を出すことができます。もちろん入ってくる風があってこそ効果を発揮するので、窓との位置関係を考えたいものです。両者が近すぎるとせっかく出ていった空気がまた入ってしまいます。

 

戸建であれば窓を追加するのは比較的簡単です。一方で問題点もあります。まず耐震性です。窓があると一面が壁になっているより耐震性は下がります。特に後から追加する場合は注意したいところです。

 

家が住宅街にあって隣の家や道路が近いと、窓の追加でプライバシーが損なわれたり、逆に侵害したりするかもしれません。防犯にも影響します。窓を小さくしたり、高いところに設置したり、外側に面格子を付けたりするなどの配慮が必要です。

 

他にも窓によって家具の配置が制限されます。窓の追加にはこうした問題点にもしっかりと目を向けましょう。

マンションでもリノベーションで風通しがよくできる?

戸建に比べるとマンションのリノベーションで風通しを良くするために窓を追加したり、配置を変えたりするのは難しいものです。たとえスケルトンでリノベーションできたとしても窓は外枠になるので制約があります。また一方の窓が通路などの共用部に面していると、プライバシーや防犯上の問題から開けづらいでしょう。

 

工夫できるポイントは3つです。まずは風が通りやすい間取りに変更します。例えばバルコニー側に2つの部屋があってそれぞれに窓があるなら、仕切りをなくして1つの部屋にすると少しは空気の流れができます。さらにドアから奥の部屋に抜けるよう通り道を作ると効果的です。例えば2つ以上の部屋とつながっている「ウォークスルークローゼット」がその役目を果たします。

 

次に窓の種類を変える方法です。一般的には左右どちらからも開けられる「引き違い窓」が主流ですが、これを一部分しか開かない「すべり出し窓」や「上げ下げ窓」に変えます。

 

「すべり出し窓」は外側に向かって開く窓です。ストッパーによって好みの位置に止められます。最初から人が通れないほど細くすれば、外部から侵入できません。横向きで上に開くタイプのすべり出し窓なら、雨の日でも部屋を濡らさずに換気ができます。「上げ下げ窓」は半分から上か下だけを開けられるようになっており、もう片方は固定されている窓です。

 

もう一つは「サーキュレーター」の活用です。空気が循環するようになり、配置する場所によっては風を通したい窓へと誘導できます。冬場は冷たい空気を上げて暖かい空気を下げ、部屋全体を暖めるのに役立つでしょう。首を振ってまんべんなく空気を循環させるサーキュレーターもあります。扇風機や空気清浄機でも同じことができますが、サーキュレーターのほうがコンパクトで場所を取りません。

まとめ

風通しが良くなれば快適に生活できるだけでなく、家も長持ちします。住まいを選ぶときは風が通るように窓が配置されているか確認しましょう。特に2つの窓が向かい合っていたり、高低差があったりすると効果的です。

 

リノベーションでは窓を希望の位置に追加できます。マンションなどで追加するのが難しい場合は、間取りや窓の形の変更、サーキュレーターの活用で風通しを変えられます。リノベーションのご相談ならNextColors

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WRITER
安井 俊満
マーケティング

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