中庭のある家を楽しもう！相談前に知っておく対策ポイント

2018.12.15
HOW TOLIFE

中庭のある家を楽しもう！相談前に知っておく対策ポイント

Written by 安井俊満

HOW TOLIFE

公開日： 2018.12.15

中庭のある家は、外に庭がある家には無い独自のメリットがあります。一方で、中庭のある家はデメリットも多いようです。中庭を設けつつ快適な家にするには、どのような点に気をつければいいのか、ポイントを紹介します。

1. 中庭のある家のデメリットとメリットをおさらい
2. 中庭のある家を快適にするリノベーションのポイントは？
3. まとめ
4. 【事例】リノベーション

中庭のある家のデメリットとメリットをおさらい

中庭のある家に憧れるだけでは後悔の原因になります。まずはデメリットを知っておきましょう。

■デメリット①建築費が高くなる

中庭を作ると、家の形はロの字型やコの字型になります。普通の四角い家に比べると、外側だけでなく内側にも壁を作らなければいけないため、建築時の値段は高くなりがちです。

■デメリット②自然の影響を受ける

また、壁の面積が広い上に窓の数も多くなりますから、普通の四角い家より外気の影響を受けやすく、断熱効果も低くなります。住んでからも暖房費や冷房費が悩みの種になるでしょう。入隅（凹になっている角）があるせいで、耐久性が劣るのも気になるところです。

中庭があるのは、自然を家の中に取り込むのと同じ状態になります。特に気をつけたいのが湿気です。雨が降って水たまりができると、四方を壁に囲まれているため、湿気の逃げ場がありません。ジメジメするだけでなくカビや虫が発生する原因にもなります。夏場は熱気の対策も必要です。

■デメリット③動線の制約が生じる

他にも、中庭のある家は室内の移動を不便に感じます。対角線上にある部屋へ行くにはグルッと遠回りしなければいけません。中庭を通り道にするのも、雨や雪の日は難しいでしょう。中庭があるために、部屋を内側へ広げられないという制約もあります。

ちなみに風水では、中庭のあるロの字型やコの字型の家は、建物の中心である「太極」に何も無いため、良くないと解釈される場合があります。もちろん風水が絶対に正しいわけではありませんが、気にする人は要注意です。

もちろん、中庭のある家にはメリットもたくさんあります。

■メリット①外からの視線を気にしなくて良い

中庭は外側からは見えないですし、入りこむのも不可能です。安心して子どもを遊ばせたり、夜は窓を開けたまま眠ったりすることができます。平屋でなければ周りの家から中庭を覗かれる心配もなく、プライバシーを保てるでしょう。中庭に面した窓は、わざわざカーテンで遮らなくてもいいのです。

■メリット②自然光を取り入れられる

中庭のおかげで光を取り込みやすいという一面もあります。周りを建物に囲まれていても、北向きでも、天窓があるのと同じくらいの明るさを確保できるでしょう。

■メリット③部屋間の適度な距離感が保てる

そして二世帯住宅では、中庭を境界にするとお互いに干渉せず適度な距離感を保てます。中庭のおかげで見守るのも、すぐに駆けつけるのも簡単です。

中庭のある家を快適にするリノベーションのポイントは？

中庭のある家にリノベーションするときは、デメリットを解消してメリットを最大限に活かしたいものです。そのためには、いくつかポイントがあります。

■間取り

まずは設計の時点で、光の入り方や風の通り道、間取りをよく考えましょう。コの字型の家にするなら、どの方角を開放するかも重要です。この部分は後から修正するのが容易ではありません。

よくある間違いとして、中庭があるなら外側の窓は無くても大丈夫だと考えがちですが、入ってくる光の量が多ければ、明るさも暖かさも全然違います。隣接する建物に陽射しを遮られていないなら外側にも窓を設けたほうが良いでしょう。特に南側と東側にあると効果的です。複層ガラスや樹脂サッシにすれば断熱性も高められます。

間取りは動線を重視したいところです。最初から中庭を横切るのを想定するのは、あまり現実的ではありません。悪天候の日は使えないですし、いつも手入れできるとは限らないからです。できるだけ遠回りしなくて済むように各部屋を配置します。家族が集中しやすいリビングやキッチン、トイレなどの水回り、階段は分散させないほうが良いでしょう。

■水はけ

中庭には水はけの良い土を入れたり、傾斜をつけたり、「暗渠排水」といって穴の空いた配水管を埋めたりするなどして、水たまりをできにくくすることができます。いっそウッドデッキで覆って、部分的に木々や花々を植えられるようにすれば、水たまりに悩まされる心配はありません。タイルデッキにすると耐久性があり、普段の手入れも簡単です。

ここまで紹介したポイントは、設計図やイメージだけだとピンと来ない場合があります。中庭のある家を作った実績が多い設計士や業者に相談するのがおすすめです。希望を伝えると、最適な位置や向きに中庭を配置してくれるでしょう。

例えば外壁と接するように中庭を配置すれば、生活動線を分断される心配はありません。予算や敷地の都合でロの字型やコの字型の中庭が難しければL字型にするという選択肢もありますし、あえて1階を普通の間取りにして2階に中庭を配置する方法もあります。屋根の傾きを上手に利用すれば光の取り込みや風通しも自由自在です。