多くの建売住宅や分譲マンション、古い賃貸アパートには畳敷きで襖のある和室が12室ほど設けられています。これを洋室にリノベーションするにはどうすればいいのか、注意点と和を取り入れた洋室にする方法を紹介します。

和室を洋室にリノベーションできる?

和室は高温多湿な日本の生活に合った部屋です。畳は吸湿性と放湿性に優れており、常に快適な湿度に保ってくれます。

 

断熱性にも優れているため、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるのが魅力です。畳の匂いには癒し効果があり、階下に音が伝わるのを防いでくれます。

 

一方でダニやカビが繁殖しやすく、天日干しや表替えなどこまめな手入れも必要です。また日常の動作で傷みやすく、重い家具を置くと跡が残ります。

 

他にも和室特有の襖や砂壁、鴨居、障子が洋風の家具とミスマッチで有効活用しづらいという難点もあるでしょう。

 

そんな和室を洋室にリノベーションするのは意外と簡単です。

例えば畳を撤去して、代わりにフローリングなどの床材を張ります。砂壁には板を張って、その上から壁紙で雰囲気を変えられます。

 

天井も同様です。押し入れは襖を撤去し、中棚を外して代わりにハンガーパイプを取り付ければクローゼットになります。スペースが広ければウォークインクローゼットにすることも可能です。

 

障子窓があったところにカーテンを下げるのは、鴨居にカーテンレールをつけなければいけないため、他の工事に比べると手間がかかります。

 

ブラインドのように下ろして使える「プリーツスクリーン」なら取り付けも簡単です。

 

あえて障子枠を残し、代わりにガラスシートを張るとおしゃれです。予算の都合で100%のリノベーションができなくても、部分的に和室らしさを残して「和モダン」に仕上げる方法もあります。

 

同じ和室でもマンションの和室は「大壁造り」といって、本格的な和室の「真壁造り」と違って柱が壁の奥に隠れています。そのため、本格的な和室よりも少ない手間でリノベーションできるでしょう。

和室を洋室にリノベーションする際の注意点

いくら「和モダン」という言葉があっても、和室を何の方向性もなく中途半端に洋室へリノベーションすると、ちぐはぐして落ち着けない部屋になります。畳をフローリングに変えるなら、壁や天井、襖も合うように変えるのが望ましいです。

 

マンションでは管理規約の確認も必要です。特に畳をフローリングに張り替えるときは、材質によって防音性が損なわれる可能性があります。主に「L値」で示されており、これが45以下に定められているマンションが大半です。

 

特に重量衝撃音(HL)の性能が高いものを選びましょう。また畳とフローリングでは厚みが異なり強度も変わるため、張り替えの際に別途下地作りの工事が発生する場合もあります。

 

和室の入口は2枚の引き戸になっており、洋室にリノベーションする際に1枚扉の開き戸に変えようとすると新たに壁や枠を設けなければいけなくなります。最近では洋風の引き戸があるので、それと入れ替えれば鴨居や敷居も活かせて簡単です。

 

安全性もチェックしましょう。他の部屋や廊下と段差がある場合はそれを解消する工事もしなければいけません。介護のためバリアフリーを目指しているならなおさらです。敷居のせいで段差が生じているなら撤去すれば解消できますし、わずかな段差ならスロープ状の見切り材で意識させなくすることも可能です。

賃貸で和室を洋室にリノベーションできないならDIY

戸建やマンションのように自分の持ち家であれば、和室を洋室にするリノベーションは自由にできます。けれども賃貸の和室を洋室にリノベーションするのは制約が多く、退去時には原状回復しなければいけません。それでもDIYによって壁や床を傷つけずに和室から洋室に変えられます。

 

例えば床は畳の上にフローリングのカーペット(ウッドカーペット)を敷くと簡単です。ホームセンターで購入すれば床のサイズに合わせてカットしてくれます。ビニール製のクッションフロアなら柔軟性があって安価です。

 

ただし、どちらにしてもそのままでは畳にダニやカビが発生しやすくなるので、あらかじめ防虫と防湿を兼ね備えたシートをカーペットと畳の間に挟んでおくと良いでしょう。それでも定期的に剥がして畳を掃除する必要はあります。

 

壁や襖は上から壁紙を張ります。そのまま張るのはNGですが、最初にマスキングテープを貼っておくと、その上に両面テープを貼って壁紙を重ねられます。元々の壁や襖と接しているのはマスキングテープだけですから原状回復は簡単で傷める心配もありません。

 

砂壁でマスキングテープを貼れないときは発泡スチロールやベニヤ板を固定して、その上に壁紙を張る方法もあります。

 

天井も同様に壁紙を張って隠しますが、代わりにお気に入りの色やデザインの布を画鋲で留めてもおしゃれです。あえて弛ませてセンスを良く見せつつ、画鋲も隠しやすくなります。

 

ここまでDIYすれば和室の大部分が隠れるので、かなり洋室っぽく見えるでしょう。もちろん原状回復はすべて剥がしたり撤去したりするだけです。

まとめ

和室の使い道が思い浮かばないときは洋室にリノベーションすると有効活用できます。畳をフローリングに変えたり、壁紙や襖を洋風にしたりするなど意外と手間はかかりません。

 

原状回復が必要な賃貸でもDIYによって和室を洋室に変えられます。もちろん戸建でない限りは禁止事項がないかマンションなら管理組合、賃貸なら家主に確認してからリノベーションをしましょう。

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WRITER
安井 俊満
マーケティング

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