「上がりかまち」という建築資材について、皆さんはどんなイメージを持っているでしょうか?

ここでは伝統的な日本建築に欠かせない、上がりかまちについてまとめています。

上がりかまちとは?役割りは?

玄関土間

上がりかまちは、玄関の上がり端の段差に設けられたに横木の見切り材のことで、化粧材の一種です。

 

上がりかまちによく似たものに、和室の床の間に使われる同じく「框(かまち)」といわれる化粧材があり、こちらも座敷(または框床)に対して横木に走らせた見切り材として使われています。

 

上がりかまちは靴を脱ぐ文化が生んだ和風住宅独特の建築部材で、洋風のエントランス部には本来ないものです。そんな上がりかまちを取り入れるメリットは、何といっても空間を分けられる部材だということでしょう。

 

日本の住宅の玄関は土間スペースという何とも中間的な素材でできた空間と、座敷(現在の住宅の玄関ホールはフローリングとなっていますが)といわれる内なる空間に区分けされます。上がりかまちはその曖昧ともいえる内外の空間をくっきり区分けする存在感があります。

 

上がりかまちは玄関ホールに使われる床材と原則として同じ木材が使われますが、現在の上がりかまちにはケヤキといった堅木や、マツやヒノキなどが使われることもあり、地板部分にはアカマツ、ケヤキなどが使われます。

なかでもケヤキは上がりかまちを象徴する部材で、美しい木目・木肌には独特の存在感があります。

 

また上がりかまちを使った玄関ホールは、玄関の顔となる高級感が備わります。

 

これは見栄えだけではなく、十分な耐久性も求められることで自然に備わるものなのでしょう。

 

上がりかまちには、あまり知られていない大きなメリットがあります。

 

それは伝統的な日本家屋の多くが玄関を訪れる人々に、上がりかまちを中心としたコミュニケーションの場を提供し続けていることです。

 

日本家屋の良さのひとつが、比較的広い玄関を構成している点です。

そして上がりかまちを中心とする地板や沓脱ぎ石(くつぬぎいし)、そして付け框といった建築材料は、玄関を通じて日々交わされるコミュニケーションをより円滑なものにしているのです。

上がりかまちのデザイン

玄関土間

日本家屋の玄関は、お客様をもてなす場としても多目的に使われ、一般に広い玄関を構成しています。そのため上がりかまちのデザインは長尺で直線のものが代表的で、これに付随するように式台や沓脱ぎ石などが、空間をより多面的に見せています。

 

なお式台とは地板ともいい、上がりかまちと土間との間に位置し、座敷より一段下がったところに位置する踏み台のようなものです。そして沓脱ぎ石とは履物を着脱するため、土間上に据えられた敷石です。

 

ただし都市部の日本家屋は、年々玄関の省スペース化が進み、玄関をより広くみせるために上がりかまちにも色々な工夫が施されています。

 

たとえば曲線や、アールを付けた上がりかまちが増えているのは明らかに住宅が洋風化している証拠だともいえます。

同じ直線でも斜めラインを意識した上がりかまちは、玄関の土間スペースを少しでも広くみせるための工夫です。

 

また上がりかまちは伝統的に木材を使う文化でしたが、いまでは大理石を使ったり、モザイクタイルを貼った上がりかまちもあり、次々に新しいデザインが出てきました。

 

さらに洋風の建物を象徴するマンションでは、L字型やコの字型もある上がりかまちが見られます。

マンションは戸建住宅とは違い、いわゆる土間スペースが基本的にありません。そのため床面との段差はわずか数センチしか取らないフラットな構造になっています。L字型やコの字型の上がりかまちとは、マンションのフラットな構造に合わせてつくられている新しいモデルです。

 

このように上がりかまちのデザインは、人気の新和風の流れでみられるより伝統的なものから、マンションスタイルに代表されるようなフラットな構造を意識したデザインへと広がりをみせはじめています。

バリアフリーの上がりかまち

 

ただ近年は高齢・長寿化が当たり前となり、建築やリノベーションの分野にもバリアフリー化が進んでいます。

そして比較的高い段差に設けられた上がりかまちは、高齢者や足の不自由な方には向かないものと認識されるようになっています。

 

上がりかまちがデザインのバリアフリー化によってまず変わったことは、段差を低くすること、またスロープをつけることです。

これによって段差を意識せずとも車椅子でも自由に往来できるように、リノベーションが進んでいます。

 

また従来の段差の高さを残しながらベンチなどを造作し、靴の着脱をしやすくする上がりかまちのリノベーションも進んでいます。

これはデザインのバリアフリー化によって見落とされた、履物を着脱する日本独特の文化をこの先も継承するために、とても大事なことだといえます。

 

思えば日本家屋の段差ほど、足腰に優しい文化だと気づきます。

マンションなどの段差の少ない環境は、腰を屈めないでも靴の脱ぎ剥ぎが出来る人にとっては望ましい環境ですが、靴の脱ぎ剥ぎをするのに腰を屈めなければならない人には非常に酷な環境です。

日本家屋の段差はベンチと同じ環境を提供するという意味で、車椅子を使わない人にとって非常に理にかなった特徴です。とくに上がりかまちの下段に式台、土間が来る高さは、まさにベンチと同じ効果を持ちます。

 

こうしたバリアフリーの相談は、何より建築を知り尽くした会社にお願いしたいものです。その意味で上がりかまちのリノベーションなら、ネクストカラーズへ。

 

まとめ

上がりかまちは玄関土間と縁を切る見切り材として、むかしから高級木材が使われ珍重されてきました。上がりかまちを見ると、家づくりに賭ける大工の情熱が伝わってきます。

 

バリアフリー化が進み、次第に框材に対する思いは日本人の心から消え去ろうとしていますが、上がりかまちの良さをどこかで持ち続けていたいものです。

 

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WRITER
安井 俊満
マーケティング

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